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今月の主題 大腸癌の深達度診断 序説
大腸癌の深達度診断
著者: 丸山雅一1
所属機関: 1癌研究会附属病院内科
ページ範囲:P.1139 - P.1140
文献購入ページに移動 この主題は,これまで本誌で繰り返し取り上げられてきた.それだけに重要で,客観的な基準を作り難いものと言うことが可能であろう.どういう手法で深達度を論じるか.これも問題となる.なぜならば,深達度診断とは,浸潤パターンの診断と全く同義であり,更に,浸潤パターンの分析は,癌の形態発生という魅惑的な迷路に迷い込みやすい.迷い込んだ後,機首をどう立て直すか,この一点に深達度診断の真髄を読み取れるかどうか.本号の興味はその辺りにある.また,各執筆者の個性が明らかになるところでもある.
平坦・陥凹型(表面型)が頻繁に発見されるようになり,癌の肉眼形態スペクトラムは確かに変化した.しかし,これらの流行型を前面に押し出して,浸潤パターンを論じることは,事の本質から遠ざかることを意味するのではないか.大腸癌の肉眼形態を制御している遺伝子型に年代的な変異が証明されているのであればともかく,そうでなければ,なるべく長い時間帯にわたる肉眼形態の空間を想定し,壮大な構想のもとに,深達度の分析から浸潤パターンの類型化,更には形態発生の解明へと歩を進めてもらいたいものだ.
平坦・陥凹型(表面型)が頻繁に発見されるようになり,癌の肉眼形態スペクトラムは確かに変化した.しかし,これらの流行型を前面に押し出して,浸潤パターンを論じることは,事の本質から遠ざかることを意味するのではないか.大腸癌の肉眼形態を制御している遺伝子型に年代的な変異が証明されているのであればともかく,そうでなければ,なるべく長い時間帯にわたる肉眼形態の空間を想定し,壮大な構想のもとに,深達度の分析から浸潤パターンの類型化,更には形態発生の解明へと歩を進めてもらいたいものだ.
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