icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸28巻11号

1993年10月発行

文献概要

今月の主題 大腸癌の深達度診断 主題症例 10mm以下の大腸進行癌

遡及的検討が可能であった小さなS状結腸pm癌の1例

著者: 新原亨1 西俣寛人1 美園俊明1 徳元攻1 藤林圭一1 尾辻真人1 野口昌宏1 唐仁原寛1 西俣寿人1 西俣嘉人1 有馬暉勝1 中原信昭2

所属機関: 1鹿児島大学医学部第2内科 2鹿児島市立病院消化器内科

ページ範囲:P.1217 - P.1223

文献購入ページに移動
要旨 患者は57歳,女性.横行結腸進行癌の手術から約2年後,経過観察のための注腸X線検査で,S状結腸に大きさ8mmのⅡa+Ⅱc様の形態を呈する大腸癌を発見し,S状結腸切除術を行った.術前の注腸X線側面像では丈の低い台形状変形を呈し,組織学的には,pmに浸潤した腺腫成分を含まない高分化型腺癌であった.また,この病変は2年前の注腸X線像では,弧状の側面変形を伴う無茎性の隆起として描出されていた.今後,無茎性病変,特に中心陥凹を伴うものは,10mm前後でも進行癌の可能性を考慮に入れる必要があると考えられた.また,X線像では,側面変形の形態だけでなく,変形の程度まで考慮することにより,正確な深達度診断への可能性が示唆された.一方,内視鏡像では,空気量の増減でみられる空気変形の所見が深達度診断上重要と思われた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?