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文献詳細

雑誌文献

胃と腸28巻12号

1993年11月発行

文献概要

今月の主題 消化管ポリポーシス―最近の知見 主題症例

大腸癌と乳癌を併発した若年性胃腸管ポリポーシスの1例

著者: 平田一郎1 安達岳似1 林勝吉1 滝内比呂也1 斉藤治1 三好博文1 浅田修二1 大柴三郎1 岡島邦雄2 黒川彰夫3

所属機関: 1大阪医科大学第2内科 2大阪医科大学一般消化器外科 3大阪医科大学中検病理

ページ範囲:P.1363 - P.1372

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要旨 患者は51歳,女性.貧血,下口唇粘膜の白色小腫瘤,体幹部皮膚に疣贅状色素沈着を認め,当科にて消化管の検索を行ったところ,主として胃体部全域に無茎性,数mm大の小ポリープの密生を認めた.直腸・結腸にはIs~Ip,米粒大~約3cmのポリープを計7個,散在性に認めた.胃と大腸のポリープはすべて若年性ポリープの組織像を呈した.このうち,結腸肝彎曲部の約3cmのポリープには若年性ポリープと高分化型腺癌(sm癌)の併存を認めた.更に右乳房に乳癌の合併が認められた.大腸ポリープはすべてポリペクトミーされ,その後,結腸部分切除術,右乳房切除術が施行された.手術から3年後に乳癌による肝転移,骨転移を来し死亡した.本例のように若年性胃腸管ポリポーシスに疣贅状色素沈着,口腔内乳頭腫様病変,大腸癌,乳癌を合併した報告はなく,特異な例と考えられた.本邦報告の若年性ポリポーシス43例の検討も併せて行った.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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