今月の主題 消化管ポリポーシス―最近の知見
主題症例
胃過形成性ポリープの大量吐血で発症したPeutz-Jeghers症候群の1例
著者:
宮川恵美子12
鈴木一史3
神津照雄3
軍司祥雄3
山田英夫3
二宮栄一郎3
一瀬雅典3
原田昇3
吉村清司3
落合武徳3
磯野可一3
滝沢義和1
有水昇1
所属機関:
1千葉大学医学部附属病院放射線科
2帝京大学医学部附属市原病院放射線科
3千葉大学医学部第2外科
ページ範囲:P.1393 - P.1396
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要旨 患者は口唇,口腔粘膜,手指に色素沈着を伴う18歳の女性で,吐血および血圧低下のため,当院第2外科に緊急入院となった.出血は胃体部大彎の巨大ポリープからであり,待期的内視鏡的ポリペクトミーが施行された.消化管検索の結果,S状結腸ポリープが指摘され,同様に内視鏡的ポリペクトミーの適応となった.病理組織学的には胃は過形成性ポリープ,S状結腸は過誤腫性ポリープであった.本邦報告144例のPeutz-Jeghers症候群では腸重積,イレウス,腹痛などでの発症が主であり,吐血での発症は検索しえなかった.また,過去10年間の当院第2外科における胃内視鏡検査5,405例中,吐血で発症した胃腫瘍は11例あり,ポリープからの出血は本例のみであった.