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文献詳細

雑誌文献

胃と腸28巻12号

1993年11月発行

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編集後記 フリーアクセス

著者: 丸山雅一

ページ範囲:P.1404 - P.1404

文献概要

 臨床医学が学問か否か,という問いに議論があることは今も昔も変わらない.ただし,私見によれば,学問とは学問の方法論とルールに従って各自が生産的と思える仕事をなすことであり,その結果が世のため,人のために良かれとする動機は必要ではない.そのような動機があるとすれば,おそらくその人の仕事自体が偽善である.人を学問とか,研究に駆り立てるのは,あくまでも,知的な興味であるべきだ.本号の企画を練り始めたときから,そのような書生っぽいことを考えていた.

 知的興味がないところには,進歩がない.これは,自明のことだ.しかし,優性遺伝の形をとる消化管ポリポーシスを病む患者および家族(血縁者と言うべきか)の内なる世界は,業である.業とは,進歩も展望もなく,癒えることのない哀しみである.そして,医師として対応する側は,疾患を理解しえても,その哀しみを理解することは不可能である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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