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文献詳細

雑誌文献

胃と腸28巻13号

1993年12月発行

文献概要

今月の主題 早期胃癌の内視鏡的根治切除―適応拡大の可能性と限界を探る 主題 術後経過からみた早期胃癌内視鏡的根治切除の限界と対策

長期経過例からみたstrip biopsyの問題点と対策(特に同時・異時性多発病変の検討)

著者: 多田正弘1 檜垣真吾1 松元裕輔1 村上敦司1 廖昭銘1 苅田幹夫1 柳井秀雄1 沖田極1

所属機関: 1山口大学医学部第1内科

ページ範囲:P.1441 - P.1451

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要旨 現在までに321症例の早期胃癌に対して根治目的に内視鏡的治療を行い,経過観察を行ってきた.そのうち,40例(12.5%)に多発胃癌症例を経験している.多発胃癌症例は高齢者の男性に多く,主病変は隆起型,A領域に発生するものが多く認められた.また,副病変のほとんど(45病変中44病変)は分化型胃癌であった.内視鏡治療における単発胃癌症例と多発胃癌症例の5年生存率は96.0%,93.8%であり,両者の生存率に差はなかった.更に,経過観察中に8例において,新たな早期胃癌9病変が発見された.すべて内視鏡的治療の適応範囲内の分化型胃癌であり,8例中7例には内視鏡的治療が施行され,良好な経過を認めている.以上の成績から,内視鏡的治療適応内の病変が多発している症例では,各々の病変を内視鏡的治療することによって根治効果が得られることが明らかになった.更に,術後の経過観察中に発見される多発早期胃癌病巣は,1年に1度の内視鏡観察により,内視鏡的治療の適応内の病変で診断され,追加の内視鏡的治療で根治できた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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