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文献概要
今月の主題 内視鏡的食道粘膜切除術 序説
食道粘膜切除術の意義
著者: 神津照雄1
所属機関: 1千葉大学医学部第2外科
ページ範囲:P.123 - P.124
文献購入ページに移動 食道の切除標本を取り扱った経験のある医師であれば,切除直後の新鮮な状態やフォルマリン固定後でも標本が新しいほど,粘膜層と固有筋層の間にズレが生じたりあるいは遊離しやすい状況にあることに気づいているはずである.胃から始まった内視鏡的粘膜切除術が大腸に移り,そして食道にも応用されるようになってきた.粘膜切除術の基本は粘膜下層への生食水注入による粘膜層と固有筋層の剥離操作にある.食道に関しても内視鏡的に粘膜下層より表層の組織を剥離・切除しやすい臓器と言える.しかし,ひとたび穿孔などの合併症が発生した場合には,年齢,心肺腎機能,全身状態の迅速な把握のうえで,開胸処置に移らなければいけないなど,相応のリスクを念頭に置いておかなければいけない.手術侵襲度の差からみれば食道癌の治療としての,開胸をして食道を切除する方法,非開胸食道抜去術と,内視鏡的粘膜切除術のその差は歴然としている.
食道癌外科治療の立場から,切除標本の病理組織学的検討の結果を踏まえても,粘膜切除という局所治療でよしとされるのは,最近の深達度亜分類診断から言えばep~mm2(施設によってはmm1と報告)までの症例である.そして切除された標本の検索で高度な脈管侵襲を有する症例や術前深達度診断を浅く読んでしまった症例に対しては,その後に適切な治療を加えればよいとする診断的意味も本術式の意義の大きな比重を占めている.
食道癌外科治療の立場から,切除標本の病理組織学的検討の結果を踏まえても,粘膜切除という局所治療でよしとされるのは,最近の深達度亜分類診断から言えばep~mm2(施設によってはmm1と報告)までの症例である.そして切除された標本の検索で高度な脈管侵襲を有する症例や術前深達度診断を浅く読んでしまった症例に対しては,その後に適切な治療を加えればよいとする診断的意味も本術式の意義の大きな比重を占めている.
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