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文献詳細

雑誌文献

胃と腸28巻2号

1993年02月発行

文献概要

今月の主題 内視鏡的食道粘膜切除術 主題

手術成績からみた食道粘膜切除術の評価

著者: 井手博子1 江口礼紀1 中村努1 林和彦1 吉田一成1 葉梨智子1 村田洋子2 山田明義3

所属機関: 1東京女子医科大学消化器外科 2東京女子医科大学消化器内視鏡科 3東京女子医科大学消化器放射線科

ページ範囲:P.133 - P.139

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要旨 表在癌の粘膜切除可能病巣を知り,その治療効果をみるために,当教室で切除した食道表在癌症例190例の遠隔成績と病理所見および自験粘膜切除13例を検討した.overallの累積生存率Aと明らかな他病死例を除いた累積生存率Bとを比較し,AはBより約10%低い予後を呈した.この累積生存率Aの低下はmm癌,76歳以上の高齢者群で顕著にみられた.内視鏡的粘膜切除の適応病変を切除標本から検討したが,脈管侵襲がなく絶対安全な病変はep癌,それも0-Ⅱbか平らな0-Ⅱc癌,比較的適応としては肉眼型0-Ⅱ型で深達度1pmまで,大きさ2cm前後の病変が挙げられた.sm癌でも大きさが1.Ocm前後のものは脈管侵襲率が低頻度でone pieceで切除可能なことから,このような病変をもつ高齢者やリスク症例には今後慎重に適応を拡大し,摘出標本の病理所見をみて更なる治療の必要性に関し検討していきたいと考える.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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