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文献詳細

雑誌文献

胃と腸28巻2号

1993年02月発行

文献概要

今月の主題 内視鏡的食道粘膜切除術 主題

早期食道癌に対する内視鏡的粘膜切除の実際―2チャンネル法

著者: 門馬久美子1 吉田操2 山田義也1 田所康正1 榊信廣1 田島強3 室井正彦2 岩崎善毅4 滝沢登一郎4

所属機関: 1東京都立駒込病院内科 2東京都立駒込病院外科 3東京都立駒込病院内視鏡科 4東京都立駒込病院内病理科

ページ範囲:P.141 - P.151

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要旨 早期食道癌に対する内視鏡的粘膜切除法は,食道温存のまま小さな侵襲で癌が根治できる局所治療法であり,切除組織の病理組織学的検索から,局所根治の判定や追加切除の必要性が判定できる唯一の方法である.リンパ節転移や脈管侵襲のない深達度ep~mm2までの癌が適応であり,癌の根治目的にep癌28例,mm癌9例,手術拒否sm癌1例と,病変の全生検および確定診断目的に異型病変2例の計40例に粘膜切除を行った.診断に相違のあった症例は6例15%であり,扁平上皮癌の診断にて切除した38例中,3例は高度異型上皮,2例は癌が検出されず再生上皮のみであった.また,高度異型上皮の診断にて切除した2例中,1例にep癌が診断された.深達度診断に相違のあった症例は4例12%であり,粘膜切除前に深く診断した症例は1例,浅く診断した症例は3例であった.分割切除を併用しているため,病変の大きさに制限はないが,分割切除施行25例中,不完全切除1例と切除断端がぎりぎりであった2例で局所再燃がみられた.最長経過観察期間は5年であり,他臓器癌にて死亡した1例を除き,リンパ節転移や他臓器転移はなかったが,3例8%で異時性多発食道癌が診断された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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