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文献詳細

雑誌文献

胃と腸28巻2号

1993年02月発行

文献概要

Coffee Break

局注膨隆絞断法―strip biopsyかダイレ法か,はたまたローゼンバーグ法か(1)

著者: 渡辺豊12

所属機関: 1松島病院大腸肛門病センター 2東京慈恵会医科大学

ページ範囲:P.152 - P.152

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 1.strip biopsy法の発展

 消化管の早期癌に対する治療は今や外科から内視鏡へ移ってしまったかの観がある.最初にそのきっかけをつくったのは内視鏡レーザーであり,更にこれを決定づけたのは内視鏡的粘膜切除法である.なかでも多田正弘博士の提唱するstrip biopsyは簡便性と安全性から多くの人によって好んで使われ,内視鏡的治療の主役になっていることに誰も異存はないであろう.また内視鏡的早期癌治療の発展に尽くした多田博士の功績も大きい.

 strip biopsyがこのように普及したのは,高度の技術を必要とせず,また特殊な器具もいらないということと共に,最も重要なことは,切除標本の検査から癌の転移の可能性の有無を知ることができることで,もし癌が多量にsmへ浸潤していて転移の可能性があれば,すぐに外科へまわすことができるという治療適応の明確化があるからである.最近,smへ強く浸潤している病巣に対してスネアをかけることが癌細胞を拡散させはしないか,という危惧をもたれるようになってきてはいるものの,まずはstrip biopsy全盛というところであろう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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