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文献詳細

雑誌文献

胃と腸28巻2号

1993年02月発行

文献概要

研究

潰瘍性大腸炎に伴う大腸癌発生―日本人潰瘍性大腸炎患者の実態と細胞動態からみた癌化機構に関する研究

著者: 岡安勲1 藤原睦憲2 武村民子2 豊島宏3 高野健人4 中村恭一1

所属機関: 1東京医科歯科大学医学部病理部・病理学教室 2日赤医療センター病理 3日赤医療センター外科 4東京医科歯科大学医学部公衆衛生学教室

ページ範囲:P.171 - P.179

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要旨 都内3病院において21年間に確認・経過観察された潰瘍性大腸炎347症例(男女比1:1)を臨床病理学的に観察し,大腸癌の累積発生頻度:10年罹患で1.1%,15年3.2%,20年11.1%を算出して諸外国と比較した.潰瘍性大腸炎患者大腸切除32例,大腸切除後の残存直腸23例の観察から高率にdysplasia(それぞれ12.5%,8.7%)の出現を認め,日本人潰瘍性大腸炎患者も罹病期間の長期化に伴いdysplasia,carcinomaが明らかに出現してくることを示した.またsporadicな大腸癌と比較して有意に若齢者(平均46.8歳)に発生すること,大腸炎重症例,腫瘍性病変は女性に多いことを明らかにした.粘膜上皮のmitosis index,核内AgNORs顆粒,PCNA陽性細胞を観察した結果,大腸炎の反復に伴い壊死と再生によって粘膜上皮の細胞分裂・増殖が亢進していることが,突然変異による癌化を生じやすい大きな原因の1つとして挙げられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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