icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸28巻2号

1993年02月発行

文献概要

症例

粗大結節状隆起を主病変とした回腸末端部結核の1例

著者: 綿引元1 多々見光仁1 山本英明1 吉村誠1 湯浅肇2 長田裕3 小川博4

所属機関: 1聖隷三方原病院消化器科 2聖隷三方原病院内科 3聖隷三方原病院外科 4聖隷三方原病院病理

ページ範囲:P.187 - P.194

文献購入ページに移動
要旨 明らかな潰瘍や潰瘍瘢痕を伴わず,粗大結節状隆起が集籏した極めてまれな回腸末端部結核の1例を報告した.患者は,30歳,女性,主婦.主訴は心窩部痛と発熱.右下腹部に圧痛あり,急性虫垂炎を疑い腹部超音波検査を施行,回腸末端部の肥厚とリンパ節腫大あり,急性回腸末端炎,なかでもエルシニア腸炎が疑われた.注腸造影で回腸末端部に粗大結節状隆起の集籏を認め,内視鏡検査にて粗大結節状隆起の集籏と,隆起の頂点にところどころ白苔を伴うびらんを認めた.生検にて,炎症細胞の高度の浸潤と類上皮細胞の増殖による肉芽腫が多数認められ,腸結核も考えられた.確定診断のためにリンパ節生検が行われ,リンパ節内に乾酪壊死性肉芽腫が認められ腸結核と診断された.抗結核剤の投与により病変は,瘢痕もなく消失した.なお,胸部X線上異常なく,ツ反は9×6mmと疑陽性,糞便中結核菌陰性,組織中の結核菌は,培養を行うも陰性.白血球は11,500と増多,CRP11.9mg/dlと強陽性,赤沈33mm/hrと充進,エルシニア抗体価陰性であった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?