icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸28巻2号

1993年02月発行

文献概要

用語の使い方・使われ方

陰影欠損(filling defect,Schattendefekt)

著者: 中野浩1

所属機関: 1藤田保健衛生大学消化器内科

ページ範囲:P.231 - P.232

文献購入ページに移動
 消化管に造影剤を充満した充盈像の辺縁に局所的に陰影の欠けた所見をみたとき,その所見を陰影欠損という.この所見はほかに充盈欠損(Fullungsdefekt),陰影脱落(Schattenausfall)とも呼ばれる.この陰影欠損は辺縁に内腔に突出した病変があるときに認められ,進行胃癌で典型的な像をみる.境界は明瞭で欠損部は不整である.Borrmann2型癌では陰影欠損の中にクラーテルの側面像を表す陰影がみられSchattenplus im Schattenminusと言われる像を示す(Fig.1).造影剤に囲まれた陰影欠損は中心性欠損(zentrale Schattendefekt)と呼ばれ,辺縁に見られる(進入性)陰影欠損と区別される.陰影欠損は小規模になると陥凹ニッシェ(Niche encastrée)(Fig. 2↓↓)や陥凹像(Aspect encastré)(Fig. 3↓↓)として現れる1).これらの所見がⅡC病変でも見られることは,造影剤で膨らんだ周囲部に比べ伸展性の障害された病変部が内腔に突出するためと説明されている2)

 充盈像で陰影欠損を示した病変は二重造影像でも陰影欠損として現れるが,小病変では病変の周辺の所見が空気量で変わったり,病変部が回転してはっきりした陰影欠損の形をとらないこともあり,また,欠損部が平滑になったりして陰影欠損という表現が適切でないこともある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?