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文献詳細

雑誌文献

胃と腸28巻3号

1993年02月発行

文献概要

特集 早期胃癌1993 主題 Ⅲ.治療の選択と考え方 A.内視鏡的治療

早期胃癌に対する内視鏡的切除術―根治を目ざして

著者: 田中雅也1 芦田潔1 梅垣英次1 大柴三郎1

所属機関: 1大阪医科大学第2内科

ページ範囲:P.87 - P.98

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要旨 内視鏡的切除術(以下ER)は切除標本の病理組織学的検索が可能なことから,症例を吟味すれば早期胃癌の根治治療として期待できる.すなわち,ERは縮小手術のうち最も侵襲の少ない術式と位置づけることもできる.根治を目的としたERの適応について当教室で過去6年間に経験した早期胃癌48例50病変,腺腫31例33病変を対象に検討した.断端陰性を,①単回のER標本であり,①切除標本を2mm間隔で切り出し組織学的に断端に正常腺管がみられること,と定義すると,83病変中38病変(45.7%)が断端陰性であり,これらの病変ではER後の胃切除術や経過観察で遺残がみられず治癒切除と考えられた.断端陰性例の病巣の大きさ,占居部位,Ulの有無をretrospectiveに検討すると,10mm以下,Ul(-),前庭部または体部大彎の粘膜内の病変が根治目的としてよい適応であった.断端陽性例で外科的手術を行った6例においては,1例を除いてすべて遺残が認められた.したがって,断端陽性となるような症例は単回ERを根治の条件とすると適応にはならないと考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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