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文献詳細

雑誌文献

胃と腸28巻4号

1993年03月発行

文献概要

今月の主題 難治性胃潰瘍(2)臨床経過と難治化の要因 序説

難治性胃潰瘍の要因を探る今日的意味

著者: 伊藤誠1

所属機関: 1名古屋市立大学医学部第1内科

ページ範囲:P.249 - P.250

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 ヒスタミンH2受容体拮抗剤のRanitidineが登場したころ,筆者らが胃潰瘍(127例)と十二指腸潰瘍(75例)をこの薬剤単独で治療した成績をみると,胃潰瘍の8週治癒率は86.6%,十二指腸潰瘍の6週治癒率は84.0%であった.平均投薬期間は胃潰瘍が6.0±2.8週間,十二指腸潰瘍が4.6±2.0週間であった.また,この期間内に治癒しなかった例にそのままRanitidineの内服を投与し続けると治癒率が更に11~12%上乗せされ,これらへの平均投薬期間は胃潰瘍で11.4±2.8週間,十二指腸潰瘍で10.0±3.3週間であった.結局,どうしても治癒しなかったものは胃潰瘍が2.4%,十二指腸潰瘍が4.0%であった.諸家の報告と比較しても,この成績はスタンダードな結果と考えている.この場合,難治性潰瘍は2.4%とか4.0%に該当する症例ということになる.

 潰瘍を難治と判定する治療期間には必ずしも一定したものはない.抗コリン剤のころまでは治療3か月に線を引くのが一般的であった.1982年にCimetidineが登場して,短い治療期間で高い治癒率が得られることがわかると,難治の判定ラインを見直そうという意見が出た.しかし,上述の成績から,H2拮抗剤でも難治性潰瘍の判定は治療3か月としてさして問題はないとみなしていた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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