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文献詳細

雑誌文献

胃と腸28巻4号

1993年03月発行

文献概要

今月の主題 難治性胃潰瘍(2)臨床経過と難治化の要因 主題 Ⅱ.難治化の要因をさぐる

難治性胃潰瘍―難治化の要因をさぐる―胃粘膜の病態から

著者: 根引浩子1 荒川哲男1 小林絢三1

所属機関: 1大阪市立大学医学部第3内科

ページ範囲:P.299 - P.305

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要旨 127例の胃潰瘍患者のうち26%がH2受容体拮抗剤(H2RA)抵抗性潰瘍であった.これらの難治化の要因について検討した.H2RA抵抗性潰瘍はH2RA易治性潰瘍に比べて再生粘膜の腺管係数が有意に低値で,再生腺管が未熟であることが示唆された.Helicobacter pyloriの感染率には有意差はなく,難治化の要因としての,Helicobacter pyloriの関与は少ないと思われた.H2RA抵抗性潰瘍のうち半数の患者ではH2RAによる酸分泌抑制が不十分であり,これらの例ではH2RAを続行することにより,その後3か月以内に治癒した(H2RA治癒遅延型潰瘍).残りの半数の例では,H2RAを継続しても3か月以内に治癒に至らなかったが(H2RA治癒不能型潰瘍),これらの例では,H2RAによって酸は十分に抑制されていた.H2RA治癒不能型潰瘍ではH2RA易治性潰瘍に比して潰瘍辺縁のprostaglandin E2(PG)量が有意に減少しており,PGの減少も難治化の要因の1つであると思われた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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