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文献詳細

雑誌文献

胃と腸28巻4号

1993年03月発行

文献概要

今月の主題 難治性胃潰瘍(2)臨床経過と難治化の要因 主題研究

機能と形態よりみたPPI抵抗性胃潰瘍

著者: 木村明1 松井敏幸1 八尾恒良1 櫻井俊弘1 有田正秀1 竹中国昭1 松岡由香里1 岡田光男2

所属機関: 1福岡大学筑紫病院消化器科 2福岡大学医学部第1内科

ページ範囲:P.325 - P.335

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要旨 プロトンポンプ阻害剤(PPI)非投与時と投与時に24時間胃内pHモニタリングを施行した胃潰瘍26例を検討し,以下の成績を得た.①難治群(10例)では易治群(16例)よりも潰瘍が大きく深いものが多かった.また,小彎短縮の高度のものが多かった.②PPI非投与時のpH3およびpH4HT(pH3以上およびpH4以上のholding time),平均pH値,pH中央値は,難治群と易治群で差はなかった.③PPI投与時のpH3およびpH4の24時間HT,夜間HT,日中のpH4HTは易治群より難治群が有意に短かったが,日中のpH3HTには有意差がなかった.④PPIによる胃内pH抑制率(IR)もpH3以下およびpH4以下の時間で算出し,24時間と夜間に,日中のpH4以下の時間の抑制率で両群間に有意差を認めたが,日中のpH3以下の時間では有意差はなかった.⑤胃角部潰瘍における小彎短縮の程度とIRは有意の相関を示した.⑥小彎短縮の程度と投与後3時間目のPPI血漿中濃度は相関する傾向を示した.以上の成績に考察を加え,PPI抵抗性潰瘍の一因として小彎短縮による胃からの排泄障害のためにPPI腸溶錠が活性体に変化して吸収されない可能性が考えられることを述べた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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