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文献詳細

雑誌文献

胃と腸28巻4号

1993年03月発行

文献概要

今月の主題 難治性胃潰瘍(2)臨床経過と難治化の要因 主題症例

難治の経過をたどった胃潰瘍の1例

著者: 芦田潔1 阪口正博1 大坂直文1 田中雅也1 滝内比呂也1 梅垣英次1 森川浩志1 大柴三郎1

所属機関: 1大阪医科大学第2内科

ページ範囲:P.339 - P.344

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要旨 患者は44歳の男性で,1983年から当科で十二指腸潰瘍のため治療を受けていた.1987年より2年間,通院が途絶えていたが,約1年間に及ぶ頑固な心窩部痛を主訴に再受診した.内視鏡では胃角小轡に活動性潰瘍がありH2ブロッカー療法では治癒までに14週を要し,難治性であった.その後の再発時にも難治性であったが,プロトンポンプ阻害薬(PPI)療法では速やかに治癒した.胃内pHモニタリングでは,H2ブロッカー投与時には日中の胃液酸度はまったく抑制されていなかったのに対し,PPI投与時には昼夜を問わず十分な抑制が得られた.すなわち,PPI療法の治癒促進効果はこの胃液酸度抑制力によるものと考えられた.しかし,PPI療法を中止すると再発を繰り返したことから,再発防止のためにPPI療法を含めた新しい療法の検討が必要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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