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文献詳細

雑誌文献

胃と腸28巻5号

1993年04月発行

文献概要

用語の使い方・使われ方

偽膜および偽膜性大腸炎(pseudomembrane and pseudomembranons colitis)

著者: 河南智晴1 長廻絃1

所属機関: 1東京女子医科大学消化器病センター

ページ範囲:P.396 - P.396

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 滲出性炎症において線維素を多量に含んだ滲出物が粘稠な膜様物となって粘膜面に付着したものを正常粘膜に対して偽膜と言う.組織では偽膜は好酸性滲出物・フィブリン・核片炎症性細胞等からなる.偽膜性大腸炎では,内視鏡的に直径数mm前後の円形ないし類円形のやや隆起した乳白色ないし黄白色のビロード状の偽膜が広い範囲に多発している.介在粘膜は浮腫状で血管透見は消失している.重症例では偽膜は地図状に癒合し,厚く苔状となって粘膜面を覆い,粘膜はほとんど消失してしまう.偽膜性大腸炎は形態学的な診断名であり,病因論的な診断名である抗生物質関連大腸炎,Clostridum difficile大腸炎とはオーバーラップした概念だが同一ではない.

 偽膜性大腸炎の多くは抗生物質投与後にみられるが,抗生物質投与歴のないものにもある.同様に,偽膜性大腸炎の多くでα4伽冒々(CD)もしくはそのtoxinが検出されるが,CD陰性の偽膜性大腸炎もあり,逆にCD陽性だが偽膜を形成しない大腸炎もある.偽膜が限局性に分布する場合,直腸~S状結腸にみられ,全大腸に分布する場合,肛門側ほど病勢が強い.生検鉗子で掴むと偽膜は軟らかいが,粘膜面からは剥離し難い.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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