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文献詳細

雑誌文献

胃と腸28巻5号

1993年04月発行

文献概要

今月の主題 腸管アフタ様病変 主題

大腸アフタ様病変のX線学的鑑別診断―アフタ様病変のみから成るCrohn病と他疾患との鑑別を中心に

著者: 飯田三雄1 檜沢一興1 青柳邦彦1 松本主之1 渕上忠彦2 桜井俊弘3 岡田光男4 八尾恒良3 藤島正敏1

所属機関: 1九州大学医学部第2内科 2松山赤十字病院消化器科 3福岡大学筑紫病院内科 4福岡大学筑紫病院医学部第1内科

ページ範囲:P.397 - P.410

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要旨 内視鏡検査で診断された大腸アフタ様病変68例(アフタ様病変のみから成るCrohn病18例,腸型Behget病3例,悪性リンパ腫/ATL4例,薬剤性大腸炎6例,アメーバ赤痢4例,エルシニア腸炎11例,キャンピロバクター・サルモネラ腸炎4例,アフタ様大腸炎18例)の注腸X線所見を分析し,そのX線学的鑑別について検討した.そのX線所見は,Ⅰ型:直径1~2mmの透亮像が多発(4例),Ⅱ型:直径1~2mmのバリウム斑が多発(8例),Ⅲ型=中心に微小バリウム斑を有する直径1~2mmの透亮像が多発(20例),Ⅳ型:中心に直径1~2mmのバリウム斑を有する1~3mmの透亮像が多発(15例),Ⅴ型:中心に直径1~2mmのバリウム斑を有する2~5mmの透亮像が多発(21例),の5型に分類できた.アフタ様病変のみから成るCrohn病では,13例(72%)がⅣないしⅤ型のX線パターンを示し,14例(78%)に直径3mm以上のびらんないし小潰瘍が認められ,うち6例(33%)は縦走傾向の配列を示した.腸型Behcet病,悪性リンパ腫/ATL,薬剤性大腸炎,アメーバ赤痢でも同様なX線パターン(Ⅳ型,Ⅴ型)を高率に示したが,病変の分布,直径3mm以上のバリウム斑の有無,縦走配列の有無などに着目すれば,Crohn病と他疾患とのX線像のみからの鑑別もある程度可能と考えられた.また病変の密度が最も高い部分の3cm四方(9cm2)の病変数を計測することによって,客観的に病変密度を評価でき,鑑別診断に役立つことが示唆された.したがって,大腸アフタ様病変の鑑別診断上,注腸二重造影は極めて有用な検査法であると考えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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