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文献詳細

雑誌文献

胃と腸28巻6号

1993年05月発行

今月の主題 大腸腫瘍切除後の経過追跡

主題

表面型大腸腫瘍の経過観察

著者: 前納健二1 藤谷幹浩1 渡二郎2 梁承茂1 佐々木伸一1 笹川真一1 室井忠樹1 仲淳一郎1 加藤久人1 高木直行1 早川尚男1 池延東男1 池上雅博3 下田忠和3

所属機関: 1早期胃がん検診協会 2旭川医科大学第3内科 3東京慈恵会医科大学病理

ページ範囲:P.523 - P.531

文献概要

要旨 1980年1月より1992年10月までの聞に大腸腫瘍の内視鏡的切除を行い,その後,経過観察された337例について検討した.また,その期間に診断された表面型大腸腫瘍192病変の合併病変と,そのルーチンX線検査の描出能について検討し,次のような結論を得た.①初回病変が単発であっても,多発であっても経過中に癌を見つける率は変わらなかった.また,腺腫例と早期癌を含む例を比較しても変わらなかった.②経過観察中に見つかった癌は,右側結腸に多かった.③内視鏡検査の見逃し率は,5mm以下で27.4%,6~10mmで12.5%であり,上行結腸,直腸,S状結腸で高かった.④表面型大腸腫瘍のルーチンX線描出能は,5mm以下のⅡa,Ⅱa様腺腫で60%,Ⅱa+Ⅱc,Ⅱa+Ⅱc様腺腫,Ⅱc,Ⅱc様腺腫(Ⅱc+Ⅱa,Ⅱc+Ⅱa様腺腫を含む)で46%であった.また,内視鏡検査で見逃された21病変のうち9病変が描出されていた.⑤Ⅱa,Ⅱa様腺腫は,隆起型腺腫,隆起型早期癌との合併が多く,17病変の表面型腫瘍が合併していた.また,進行癌との合併が5例にみられた.Ⅱa+Ⅱc,Ⅱa+Ⅱc様腺腫でも,11病変の表面型腫瘍の合併をみた.しかし,Ⅱc,Ⅱc様腺腫(Ⅱc+Ⅱa,Ⅱc+Ⅱa様腺腫を含む)では,隆起型腺腫との合併は少なく,表面型腫瘍との合併はなかった.以上より,表面型大腸腫瘍は,同時性にも,異時性にも多発するものが多く,経過観察では見逃し病変の拾い上げが重要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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