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文献詳細

雑誌文献

胃と腸28巻7号

1993年06月発行

文献概要

用語の使い方・使われ方

ひだの先細り(tapering of the fold)

著者: 川ロ実1 斉藤利彦1

所属機関: 1東京医科大学第4内科

ページ範囲:P.620 - P.620

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 陥凹型早期胃癌のうち粘膜ひだ集中を伴う病変では,粘膜ひだ上に特徴的な悪性所見を認める場合が多い.従来①中断像(太まりもやせもせず中断しているもの),②先細り〔やせ像〕(ひだの先端が急に細くなるもの),③腫大(ひだ先端部が腫大膨隆するもの),④段差(ひだの途中で段差がみられるもの),⑤蚕食像,が悪性診断指標とされてきた.このうち中断,蚕食像が出現率も高く,また癌の浸潤境界と一致する率が高いと報告されている.ひだ集中を伴う病変においては古くから,潰瘍が先か,癌が先かの議論が行われてきた.その結果現在では「潰瘍の癌化はないか,あったとしても極めてまれ」とされている.したがってひだ集中は,ひだ集中を伴わない浅い陥凹型癌巣中に消化性潰瘍が生じ,粘膜筋板が破壊され,粘膜下層に線維化が起こり,その結果ひだ集中が起こると考えられる.すなわちひだ先端の中断像やひだが急に細くなる(先細り)部は陥凹型胃癌における癌細胞側方浸潤の先進部に一致する.したがって蚕食像の場合と同様に癌が表面に露出すると容易にびらんを発生し,正常の粘膜より浅い陥凹を示すようになるが,これらの変化がひだの先端に生じたものが,ひだの中断,ひだの先細り(やせ)である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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