今月の主題 十二指腸腫瘍
主題
十二指腸の腫瘍・腫瘍様病変の病理
著者:
味岡洋一1
渡辺英伸1
成沢林太郎2
岩淵三哉1
小林正明1
前尾征吾1
吉田充宏1
所属機関:
1新潟大学医学部第1病理
2新潟大学医学部第3内科
ページ範囲:P.627 - P.638
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要旨 内視鏡生検ないし切除の原発性十二指腸腫瘍・腫瘍様病変(乳頭部病変を除く)の77/103(74.8%)は異所性胃粘膜,Brunner腺過形成などの腫瘍様病変で占められ,上皮性腫瘍は21/103(20.4%),非上皮性腫瘍は5/103(4.8%)であった.上皮性腫瘍では腺癌が11/21(52.4%),腺腫が8/21(38.1%)を占め,非上皮性腫瘍は4/5(80.0%)が悪性リンパ腫であった.部位別の病変頻度では,第1部の63/72(87.5%)は腫瘍様病変であった.しかし第2部では腫瘍が16/30(53.3%)を占め,その内訳は腺癌9/30(30.0%),腺癌4/30(13.3%)であり,第2部に病変を認めた場合は,腺癌・腺腫を念頭に置く必要が示された.外科切除例,内視鏡切除例合わせて3例のBrunner腺腫瘍を経験した.3例ともに正常Brunner腺・過形成とは明らかに異なる組織形態像を示し,Ki-67染色により高い細胞増殖能がみられた.これらの病変は,従来は存在しないと考えられてきたBrunner腺の真の腺腫と考えられ,うち1例はBrunner腺腺癌と想定される異型の強い領域を伴っていた.