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文献詳細

雑誌文献

胃と腸28巻7号

1993年06月発行

文献概要

今月の主題 十二指腸腫瘍 主題

十二指腸球部隆起性病変の鑑別診断―特に良・悪性の鑑別診断について

著者: 川元健二1 植山敏彦1 岩下明徳2 原口幸昭3 大岩俊夫4 高野平八郎5 本岡慎6 下田悠一郎7 北川晋二8 宇都宮尚9 岩下生久子1

所属機関: 1九州大学医学部放射線科 2福岡大学筑紫病院病理 3早良病院胃腸科 4大岩胃腸科外科 5高野胃腸科外科 6北九州市立医療センター放射線科 7佐賀県立病院好生館放射線科 8福岡大学医学部放射線科 9九州大学医学部第2病理

ページ範囲:P.651 - P.669

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要旨 上部消化管内視鏡検査5,335例における十二指腸球部隆起性病変の頻度および各疾患別頻度を検討した結果,その頻度は2.7%で,非特異性隆起性病変,異所性胃粘膜の順に多く,この二者で全体の77%を占めた.次いでX線および内視鏡検査が施行され球部に隆起性病変を認めた126例について,これらの所見に基づく新しい形態分類の提案を行い,各形態別の特徴について検討した.この分類は多発性3型と単発性4型に分けられ,前者はびまん性,顆粒状の胃小区様模様を呈するもの(A型),1~3mm大のびまん性ないし散在性細隆起(B型),そして4mm以上の表面平滑な無茎性小隆起(C型)であり,後者は表面平滑な無茎性ないし有茎性隆起(D型),中心陥凹を伴う表面平滑な無茎性ないし有茎性隆起(E型),結節状ないし分葉状の,無茎性ないし有茎性隆起(F型),そして胃小区様模様に類似した中心陥凹を伴う結節ないし分葉状の隆起(G型)である.多発性35例は悪性リンパ腫の1例を除きすべて良性であった.単発性91例の中で認めた悪性9例はカルチノイド,早期癌,転移性癌,悪性リンパ腫などであり,良・悪性の鑑別点は粘膜のびらんないし出血,中心陥凹辺縁の不整,短期間での増大傾向などであった.この分類を用いれば十二指腸球部隆起性病変の鑑別診断は容易であると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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