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文献詳細

雑誌文献

胃と腸28巻7号

1993年06月発行

文献概要

今月の主題 十二指腸腫瘍 主題症例

4年間十二指腸腺腫として経過観察中に癌の診断を得た1例

著者: 鈴木衛1 鈴木茂1 中迫利明1 今泉俊秀1 伴野正枝2 福島通夫2

所属機関: 1東京女子医科大学消化器病センター 2NSビルクリニック

ページ範囲:P.681 - P.685

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要旨 患者は66歳,男性.主訴は上腹部不快感.成人病検診で胃十二指腸内視鏡を施行した際に十二指腸下降脚内側に隆起性病変を指摘された.病変は副乳頭より口側にあり大きさ1.5cm,表面に軽度の不整をみる扁平な隆起性病変であった.生検では粘膜上皮の過形成と異型腺管上皮をみる十二指腸腺腫と診断された.その後3~5か月ごとに内視鏡検査と生検による経過観察が行われたが,腺管上皮細胞の異型性は軽度で良性腺腫と診断されていた.初回の内視鏡検査から3年10か月を経た第10回目の生検で高分化型腺癌の診断を得た.比較的扁平な腫瘍であったこと,腫瘍存在部位が副乳頭に近かったことなどから,十二指腸切開による外科的局所切除が行われた.病理組織検査では粘膜癌でcarcinoma in adenomaの所見であった.十二指腸腺腫の経過観察に興味ある症例であった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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