icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸28巻7号

1993年06月発行

文献概要

症例

菊花状のⅡc+Ⅱa型早期胃癌の1例

著者: 中野浩1 加藤真二1 前田玲二1 大橋秀徳1 西井雅俊1 保原怜子1 高濱和也1 渡辺真1 高野映子1 北川康雄1 宮地育郎1 伊藤圓1 溝口良順2

所属機関: 1藤田保健衛生大学消化器内科 2藤田保健衛生大学病理

ページ範囲:P.711 - P.716

文献購入ページに移動
要旨 患者は71歳,男性.胃検診で異常所見を指摘され入院した.入院時の身体所見,一般検査所見に異常は認められなかった.胃X線所見では,胃角部に粘膜ひだ集中が認められ,そのひだは集中点より徐々に太まり,花弁状となっていた.粘膜ひだ集中点には顆粒状陰影と不整陥凹がある.X線診断はⅡc+Ⅱa型早期癌であった.内視鏡検査では,胃角部に発赤顆粒を伴う浅い陥凹があり,その周囲に徐々に高まる隆起がみられる.色素内視鏡像では隆起は花弁状で,全体像は菊花状であった.切除胃肉眼所見では,胃角部小彎に3.5×3.Ocmの大きさの,中央が少し陥凹し,その周辺が花弁状に隆起し,全体像は菊花状にみえる病変が認められた.病理組織学的検索では癌は高分化型腺癌(tub1),癌は粘膜内にとどまり,病変の中央にUl-Ⅲの潰瘍瘢痕が認められた.この型の早期癌は佐野が特殊型としたⅡc+Ⅱa型である.この例ではⅡcの面積よりⅡaのほうが大きく,早期癌分類の規約によればⅡa+Ⅱc型とすべきである.しかし,佐野も述べているように,この特徴のある形をした早期癌をⅡc+Ⅱa型とし1つの群として記憶しておくほうが,臨床診断上は有利である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?