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文献詳細

雑誌文献

胃と腸28巻8号

1993年07月発行

文献概要

今月の主題 大腸癌存在診断の実態―m癌を除く 主題

大腸癌見逃し例の検討とその対策―遡及的検討例の原因追究

著者: 牛尾恭輔1 中島秀麿1 宮川国久1 石川勉1

所属機関: 1国立がんセンター中央病院放射線診断部

ページ範囲:P.745 - P.758

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要旨 1年以上の間隔をもって過去に注腸X線検査を受け,しかも10mm以上の病変の特定が可能であった進行大腸癌32例(男性22例,女性10例)34病変について,過去の写真で見逃された原因や問題点を解析し,以下の結果が得られた.①部位は右側結腸,特に上行結腸と盲腸の病変が多かった.②形状は,ほとんどが無茎性の隆起性病変で,特に扁平な病変(扁平型および扁平陥凹型)が22病変もあり,全体の64.7%を占めていた.③7病変(20.6%)は半月ひだの上に存在しており,この場合,半月ひだの限局的腫大として描出されていた.④1つの病変のみに注意が払われ,そのために見逃されていたもの(いわゆる“やぶにらみ”)は11病変(32.4%)であった.⑤前処置との関係では,小糞塊や糞汁のため,診断が不十分であったと思われるものは6病変(17.6%)であった.⑥回盲弁の上,または上行結腸でも回盲弁の近傍に病変があったため,腫大した回盲弁とみなされていた病変は6病変(17.6%)であった.⑦X線検査で病変を指摘(含む疑い)していたが,その後の医療側の指示や経過観察に,問題かあったと思われる病変は5病変(14.8%)であった.この検討の結果を踏まえて,病変を見逃さないための診断上の留意点と,今後の対応について述べた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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