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文献詳細

雑誌文献

胃と腸28巻9号

1993年08月発行

文献概要

今月の主題 虚血性腸病変の新しい捉え方 主題

虚血性腸病変の疾患概念の変遷とその取り扱い方に関する問題点

著者: 多田正大1 北村千都1 平田学1 藤田欣也1 伊藤義幸1 柴峠光成1 菅田信之1 清水誠治1 川井啓市2

所属機関: 1京都第一赤十字病院第2内科 2京都府立医科大学公衆衛生

ページ範囲:P.889 - P.897

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要旨 虚血性腸病変の名称,定義,分類などについて,いくつかの問題点が浮き彫りになってきている.すなわち,①虚血性腸病変は単に血流障害のみによって発症するのではなく,さまざまな原因が複合して発生するものであり,広い疾患概念で見直されなければならない,②Marston分類における一過性型と狭窄型の違いは重症度の差にすぎず,病因別に分類するほうが本症の成り立ちを考えるうえでふさわしい,③ほとんどの腸疾患の発生と進展に,少なからず虚血が影響しており,多くの腸疾患は広義の虚血性腸病変とみなすべきである,④未知であった虚血の原因が次々と解明されるにつれて,狭義の虚血性腸病変(spontaneous ischaemic lesions)は次第に少なくなっている,などである.“虚血性腸病変”は疾患名ではなく,単に病状,現象を表しているにすぎず,本症は“虚血性腸病変症候群”として捉えられるべきである.その過程で,病因が判明している場合には,それを明記しておくことが望ましいし,既知の疾患の経過中に典型的な虚血性腸病変が合併した場合にも,その事実を記述しておくべきである.複雑であっても可能な限り詳細に病因,病態を記しておくことによって,本症の新しい疾患概念を考えるうえで,整理が容易になる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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