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文献詳細

雑誌文献

胃と腸28巻9号

1993年08月発行

今月の主題 虚血性腸病変の新しい捉え方

主題

虚血性腸病変の臨床像―虚血性大腸炎の再評価と問題点を中心に

著者: 飯田三雄1 松本主之1 廣田千治1 青柳邦彦1 富永雅也1 岩下明徳2

所属機関: 1九州大学医学部第2内科 2福岡大学筑紫病院病理

ページ範囲:P.899 - P.912

文献概要

要旨 筆者らが経験した虚血性大腸炎82例の臨床像を分析した.その結果,①狭窄型(21例)と一過性型(61例)の比較では,年齢,下血の有無,併存疾患の有無,発病5日以内の血沈1時間値が有意に異なっていた,②若年者群(44歳以下の20例)と高齢者群(70歳以上の16例)の比較では,発症前の便秘の有無,病型,発病4日以内の血沈1時間値に有意差を認めた,③狭窄型21例中5例にX線上管状狭窄を認め,治癒が遷延した,④再発が5例(6.1%)にみられた.本症の診断に際しては,糞便あるいは生検組織の細菌培養(特に病原大腸菌感染の除外)が重要と考えられた.虚血性大腸炎以外の虚血性腸病変として,閉塞性大腸炎,虚血性小腸炎,経口避妊薬服用後の虚血性大腸炎,腹部外傷後の虚血性腸炎,静脈硬化症による虚血性腸病変,アミロイドーシス,膠原病,放射線腸炎,Schönlein-Henoch紫斑病,宿便性潰瘍,急性出血性直腸潰瘍が挙げられる.また,病原大腸菌(O157:H7)による感染性大腸炎,合成ペニシリン起因性大腸炎,潰瘍性大腸炎,Crohn病でも虚血性変化の関与が疑われている.虚血性腸病変の分類は,臨床像と病因を加味して行うことが重要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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