icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸28巻9号

1993年08月発行

今月の主題 虚血性腸病変の新しい捉え方

主題

原因別にみた虚血性腸病変の病理形態

著者: 岩下明徳1 竹村聡1 山田豊1 長谷川修三1 八尾隆史2 宇都宮尚2 平川克哉3 黒岩重和4 村山寛5 飯田三雄6 八尾恒良7

所属機関: 1福岡大学筑紫病院病理 2九州大学医学部第2病理 3松山赤十字病院消化器センター 4浜の町病院病理 5福岡大学医学部第1病理 6九州大学医学部第2内科 7福岡大学筑紫病院消化器科

ページ範囲:P.927 - P.941

文献概要

要旨 虚血性腸病変96症例〔上腸間膜動脈血栓・閉塞症(SMA-EO)21例,上腸間膜静脈血栓症(SMV-E)6例,虚血性小腸炎20例,虚血性大腸炎46例,静脈硬化症3例〕の摘出材料を用いて,病理形態学的立場から検討した.SMA-EOとSMV-Eを比較すると前者は貧血性梗塞9例と混合型梗塞11例に分けられ,後者は全例出血性梗塞であった.組織学的にも後者で出血,うっ血,水腫が強い.虚血性小腸炎と虚血性大腸炎の肉眼像は,前者は全周性帯状潰瘍,後者は結腸紐に沿う2~3状の縦走性潰瘍,全周性帯状潰瘍,匍行状潰瘍および3者の混合型が特徴的であった.組織学的には両者ともに血管性肉芽組織,線維筋症,担鉄細胞,器質化血栓ないしアテローマ塞栓が注目された.静脈硬化症による腸病変は右半結腸のみに存在し,肉眼上暗紫色調,半月ひだ腫大・消失を伴う著明な壁肥厚が特徴的で,光顕的には静脈壁の線維性肥厚と石灰化,粘膜下層の高度線維化と粘膜の血管周囲性膠原線維の沈着,および粘膜下層の小血管壁への泡沫細胞の出現が特異的であった.以上の結果をもとに,SMA-EOとSMV-Eの鑑別は可能であることを指摘し,併せて静脈硬化症による虚血性腸病変はnew entityである可能性を考察した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら