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文献詳細

雑誌文献

胃と腸28巻9号

1993年08月発行

文献概要

今月の主題 虚血性腸病変の新しい捉え方 主題

実験からみた虚血性大腸病変

著者: 大井秀久1 西俣嘉人1 仲淳一郎1 武三津彦1 鮫島朝之1 青崎真一郎1 藤林圭一1 徳元攻1 島岡俊治1 寺田芳一1 野口昌宏1 米沢善照1 西俣寛人1 有馬暉勝1

所属機関: 1鹿児島大学医学部第2内科

ページ範囲:P.943 - P.958

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要旨 虚血性大腸病変の臨床例では腸管の血流障害を証明することは困難である.そこで,実験的に血流障害を作製し,生じた病変の画像を点(P),線(L),面(A),深さ,更に経過(時間)を考慮して整理し,実験的虚血性大腸病変の画像の“ものさし”を作った.X線像でバリウム付着異常があり,肉眼像で浮腫,びらんがあるものは動脈系の障害の初期像,びらんがないものは静脈系の障害の初期像であった.X線像で管状狭小化がみられ,肉眼像で厚い白苔の付着する潰瘍性病変は,動脈系障害の時間が経過した像であった.X線像で屈曲,捻れがみられ,肉眼像で粘膜ひだ集中を伴う潰瘍を認めるものは,動脈系障害の治癒像で,コイル様外観などのloopの変形は主に腸間膜の病変による像であった.X線像で拡張がみられるものは,広い範囲の血流障害であった.実験で作った虚血性腸病変の“ものさし”を使って,臨床例にみられる虚血性大腸病変の画像を解析し,障害された主な血管および障害からの時間をある程度は推定できると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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