文献詳細
今月の主題 表面型大腸腫瘍―肉眼分類を考える
主題 2.微小な腫瘍の肉眼分類について b.X線の立場から
大腸の微小な腫瘍の肉眼分類―“微小陥凹型大腸腫瘍”の提唱
著者: 津田純郎1 八尾恒良1 松井敏幸1 北原健二1 八尾建史1 帆足俊男1 岩下明徳2 有馬純孝3 今村健三郎4
所属機関: 1福岡大学筑紫病院消化器科 2福岡大学筑紫病院病理 3福岡大学筑紫病院外科 4天陽会中央病院消化器科
ページ範囲:P.79 - P.86
文献概要
表面型大腸腫瘍の肉眼分類の問題点については,本誌の特集号(1992年8月号)でその概略が明らかにされた.しかし,その後もⅠsとⅡaの区別,陥凹を伴うⅡa+Ⅱc,Ⅱc+Ⅱa病変の肉眼分類に対する明快な解答は得られていないのが現状であろう.これは,表面型腫瘍の多くが,5mm以下という微小な病変であり,更に,それらの病変は内視鏡的粘膜摘除術が施行されることが多いため,摘除前の内視鏡・X線所見と病理所見との間に乖離が生じる結果と考えられる.よって,今回われわれは,そうした問題を解決するために,特に微小な表面型大腸腫瘍の肉眼分類の検討を行ったので報告する.
なお,既にわれわれは,内視鏡所見,実体顕微鏡所見および病理組織学的形態との間には様々な乖離を認めたことを報告し1),3者の一致の程度を比較した.その結果,X線所見は病理組織学的形態よりも色素法を用いた内視鏡所見によく一致したため,肉眼型は病理組織学的形態よりも内視鏡所見,X線所見を重視すべきであると主張した.したがって,肉眼型は色素撒布法を併用した内視鏡所見で分類している.
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