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文献詳細

雑誌文献

胃と腸29巻1号

1994年01月発行

文献概要

今月の主題 表面型大腸腫瘍―肉眼分類を考える 主題 2.微小な腫瘍の肉眼分類について c.病理の立場から

微小な腫瘍の肉眼分類―病理の立場から―大腸癌肉眼型分類から微小癌を眺めて

著者: 中村恭一1

所属機関: 1東京医科歯科大学医学部第1病理

ページ範囲:P.93 - P.96

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はじめに

 大腸癌の肉眼形態を幾つかの類に分ける肉眼型分類の意義は,その類の名称を言うことによって癌の肉眼的容姿を想起できるという,共通用語としての役割にある.ある癌の肉眼的容姿を既存の癌肉眼型分類に当てはめようとする場合には,肉眼的分類なるがゆえに,肉眼的に癌全体を眺めて感じた形そのものがどの類に相似しているかによって類別する.

 癌が大きい場合には,癌周辺の腸管の伸縮状態がどのようであっても,癌の肉眼型についてはX線・内視鏡所見と肉眼標本所見との問にあまり乖離はなく問題とはならない.ところが癌が小さくなってくると,癌とその周辺腸管を含む領域の肉眼観察から受ける癌の形が,腸管壁の伸縮状態によって変わってくる.ここにおいて,小さい癌の肉眼型分類への当てはめをどのようにするかということが問題となってくる.この問題は,肉眼型に観察方法とそれによる場の伸縮状態を明記することによって簡単に解決する.しかし,そのようにすると同一の癌に複数の異なった肉眼型を付与することになる.

 ある微小癌に対してどのようにしたら,観察方法と場の状態によらない統一した肉眼型を与えることができるであろうか? 癌の肉眼型分類への当てはめ,そして癌の形が肉眼的にどのように認識されているか,ということを改めて考えてみなければなるまい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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