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今月の主題 表面型大腸腫瘍―肉眼分類を考える 主題 2.微小な腫瘍の肉眼分類について c.病理の立場から
大腸の微小な腫瘍の肉眼分類―病理の立場から
著者: 岩下明徳1 津田純郎2
所属機関: 1福岡大学筑紫病院病理 2福岡大学筑紫病院消化器科
ページ範囲:P.101 - P.104
文献購入ページに移動胃癌取扱い規約1)では,肉眼分類の原則を粘膜面からの観察での「かたち」のままを表現することとしている.そして,早期胃癌の肉眼分類のうち,表面型は明らかな隆起も陥凹も認められないものと定義され,表面隆起型(Ⅱa),表面平坦型(Ⅱb),表面陥凹型(Ⅱc)の3型に大別されている.5mm以下の微小胃癌を含めてこれらの肉眼像は,X線,内視鏡,切除標本,組織標本の間でほぼ一致している.
一方,大腸癌取扱い規約2)では,早期癌の肉眼的分類は早期胃癌肉眼分類に準ずるものとされている.しかし,小さな表面型大腸腫瘍,ことに5mm以下の微小腫瘍ではその肉眼像が,X線,内視鏡,切除標本,組織標本の問で乖離することが少なくない3)~6).したがって,表面型大腸腫瘍の肉眼的亜分類は,分類する人の立場により異なり,いまだ統一した見解はないといっても過言ではない.本稿では,病理の立場から,大腸の微小な表面型腫瘍の定義,肉眼分類上の問題点,頻度,組織型などについて,現時点での筆者らの考えを素直に述べてみたい.諸賢のご批判を仰ぐ次第である.
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