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今月の主題 表面型大腸腫瘍―肉眼分類を考える 主題 3.微小な腫瘍を除く表面型大腸腫瘍の肉眼分類
微小な腫瘍を除く表面型大腸腫瘍の肉眼分類の問題点
著者: 丸山雅一1
所属機関: 1癌研究会附属病院内科
ページ範囲:P.109 - P.111
文献購入ページに移動表面型腫瘍は,今に始まった呼び名ではない.われわれは,それをⅡa型と称してきた.Ⅱc型は表面陥凹型,Ⅱa型は表面隆起型である.ことの起こりは,大腸では腺腫も癌と同様の肉眼形態を呈するがゆえに表面陥凹型腫瘍と呼ばざるをえなくなったことに原因がある.同様に,Ⅱa+Ⅱcにおいてもしかりである.
原点に帰れという運動が歴史の中では常に繰り返されてきたが,胃に始まった早期癌の肉眼分類とその名称は,大腸,食道のそれにも使用され,時間が経過した時点でその原点を少しはずれた状況で一人歩きし始めた感がなきにしもあらずである.もっとも,それも歴史の必然として受けとめるだけの度量が必要なのかもしれないが,例えば,Ⅱa+Ⅱc型をⅡaⅡcなどと呼ぶがごときは,むしろ歴史に無知であることの証でこそあれ,新しいものの名称として認知されるものではない.大きさの単位が少しだけ異なっていただけで,同じような表面型腫瘍を,われわれは大腸早期癌の診断の揺籃期において既に観察・記載していたのである.それらを,われわれはⅡa+Ⅱc型と記載していたが.
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