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海外文献紹介「粘膜関連リンパ組織由来の低悪性度胃原発B細胞リンパ腫細胞のHelicobacter pyloriに対する反応」/「Helicobacter pylori除菌後の粘膜関連リンパ組織由来の低悪性度胃原発B細胞リンパ腫の消退」
著者:
松原康朗1
所属機関:
1関東逓信病院消化器内科
ページ範囲:P.111 - P.111
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The response of cells from low-grade B-cell gastric lymphomas of mucosa-associated lymphoid tissue to Helicobacter pylori: Hussell T, et al (Lancet 342: 571-574, 1993)/Regression of primary low-grade B-cell lymphomas of mucosa-associated lymphoid tissue type after eradication of Helicobacter pylori: Wotherspoon A, et al (Lancet 342: 575-577, 1993)/低悪性度の胃MALTリンパ腫のHelicobacter pylori(HP)に対する免疫学的な反応をみるために,3例のリンパ腫瘍細胞をNCTC 11,637株ならびにリンパ腫を持たない患者から分離した12株のHPと混合培養したところ,それぞれ1つの菌株について腫瘍性B細胞および非腫瘍性T細胞の増殖,インターロイキン2レセプターの増加がみられ,腫瘍性免疫グロブリン,インターロイキン2の分泌増加が認められた.HPは菌株によりゲノム,cytotoxin,120-130kDAの抗体など多様性があり,宿主の反応も一様でないとされている.またこれらの反応は高悪性度の胃MALTリンパ腫や他部位のMALTリンパ腫ではみられない.T細胞を除去したところ腫瘍細胞の増殖が抑えられたことから,HPに対するリンパ腫の反応はHPそのものによるものではなく,T細胞およびその生成物を介するものと考えられる.