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文献詳細

雑誌文献

胃と腸29巻1号

1994年01月発行

文献概要

今月の主題 表面型大腸腫瘍―肉眼分類を考える 主題 3.微小な腫瘍を除く表面型大腸腫瘍の肉眼分類

微小な腫瘍を除く表面型大腸腫瘍の肉眼分類―私はこう考える

著者: 牛尾恭輔1

所属機関: 1国立がんセンター中央病院放射線診断部

ページ範囲:P.113 - P.116

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はじめに

 大腸癌の増加,免疫学的便潜血検査の集検への導入,注腸二重造影法と大腸内視鏡(特に電子内視鏡)の普及などが重なって,大腸の検査が急増している.また,大腸腫瘍の発育・進展に関する,adenoma-carcinoma sequence説とde novo説の論争,病理学者間での境界病変への関心の深化,工藤らによる平坦・陥凹型病変の研究,更にはVogelsteinらによる大腸腫瘍の遺伝子学的な新しい知見が加わり,現在は百家争鳴の感がある.

 これらの中で,扁平な腫瘍や平坦・陥凹型腫瘍の持つ重要性は,世界では認識されておらず,わが国で主に形態診断学を実施してきた研究者によって明らかにされてきた.それだけにわが国の責務は,大であると言わざるをえない.今後その自然史を解明してゆくためにも,用語や肉眼分類,組織学的な診断基準の統一が必要である.

 だが大腸腫瘍,特に表面型の大腸腫瘍に関して定義や分類の仕方に差があるのも事実である.このような背景のもとで,この1年間をみても,第39回大腸癌研究会(1993年7月,八尾恒良代表世話人)で「表面型大腸腫瘍-定義,肉眼分類および病理組織診断について」が主題の1つに取り上げられた.また,第46回日本消化器内視鏡学会総会(1993年9月,藤田会長)では「大腸癌のメインルート」についてのパネルディスカッションが行われた.これらの2つを聞いて感じたこと,および肉眼分類に対する考え方について私見を述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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