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文献詳細

雑誌文献

胃と腸29巻10号

1994年09月発行

文献概要

今月の主題 胃底腺領域の分化型癌 主題

胃底腺領域の分化型癌の特徴―病理学的特徴と組織発生

著者: 石黒信吾1 辻直子1 寺尾壽幸1 小柳由美子1 建石龍平1

所属機関: 1大阪府立成人病センター病理検査科

ページ範囲:P.1025 - P.1029

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要旨 胃底腺領域に囲まれた分化型癌の病理学的特徴を検討するために,2cm以下の胃癌手術症例375病巣を検討した.胃底腺内に限局した病巣は17病巣(4.5%)で,そのうち分化型の成分を持つものは5病巣(1.3%)であり,うち4病巣は未分化型との混合型で,純粋の分化型は1病巣(0.3%)のみであった.混合型の分化型の成分および分化型癌は,組織学的には,構造異型が強く核異型の少ない腺管形成性の癌であり,粘液組織学的には,表層部ではGOS陽性で,深部ではCon A Ⅲ陽性の胃型の形質を示す胃型の腺管形成性の癌(腺窩上皮型癌)であった.胃底腺内にみられた腺窩上皮型癌の背景粘膜は,腸上皮化生はなく,軽度な幽門腺化生を認める粘膜で,粘液所見も含めて,未分化型癌と同様であり,腺窩上皮型癌は胃固有粘膜を基盤として発生するものと思われた.混合型の未分化型癌の成分は,純粋の未分化型癌と同様の組織学的,粘液組織学的所見を示し,腺窩上皮型癌から未分化型癌への組織型の転化の可能性が示唆された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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