今月の主題 胃底腺領域の分化型癌
主題症例
特異な内視鏡像を呈し術前深達度診断に苦慮したBorrmann1型胃癌の1例
著者:
古川浩一1
成澤林太郎1
本間照1
新井太1
塚田芳久1
上村朝輝1
朝倉均1
植木匡2
白井良夫2
田中乙雄2
岩渕三哉3
小林正明4
渡辺英伸4
所属機関:
1新潟大学医学部第3内科
2新潟大学医学部第1外科
3新潟大学医療技術短期大学部
4新潟大学第1病理
ページ範囲:P.1053 - P.1058
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要旨 患者は63歳,女性.ドックで肝機能異常を指摘され当科受診.上部消化管造影で胃体上部後壁に長径4.5cm大の粘膜下腫瘍様の隆起性病変を認めた.内視鏡的には境界明瞭で,急峻な立ち上がりを示す広基性の病変であり,ごく軽度褪色調で表面は平滑であり,びらん,潰瘍はなく,頂上部に向かって走行する怒張した血管を認めた.生検ではGroup Ⅴ(tub1)であった.びらん,潰瘍を伴わない急峻な立ち上がりを示す病変のため術前診断に苦慮したが,超音波内視鏡で壁全層の肥厚を認めたため,Borrmann1型と診断した.術後の病理組織学的検討では1型癌,4×3.5×1cmで,tubl,ss,INFβ,ly2,V1,n(+)であった.