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文献詳細

雑誌文献

胃と腸29巻10号

1994年09月発行

文献概要

今月の主題 胃底腺領域の分化型癌 主題症例

胃体部のⅡb+Ⅱc型早期胃癌の1例

著者: 中野浩1 宇野浩之1 中村祐子1 八木伸郎1 野村知抄1 西井雅俊1 前田玲二1 保原怜子1 大橋秀徳1 高濱和也1 渡辺真1 高野映子1 伊藤圓1 黒田誠2

所属機関: 1藤田保健衛生大学消化器内科 2藤田保健衛生大学病理学科

ページ範囲:P.1066 - P.1070

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要旨 患者は62歳,女性.左季肋部痛を主訴に来院した.内視鏡検査で胃体部後壁に浅い線状潰瘍を発見,その周囲からの生検で癌と診断されたが,癌の範囲の診断は困難であった.X線検査で,線状陰影周囲に浅い不整形陰影斑が描写されⅡc病変と診断した.切除標本ではⅡc病変の小彎,幽門側に発赤した顆粒状粘膜のみから成る大きさ5.0×4.0cmのⅡb病変の拡がりを認めた.病理組織学的には癌は中分化型腺癌で,癌の腺管は粘膜中層に拡がり,その部にはびらんの形成が目立たず被覆上皮に覆われていた.この特徴的な組織像をとるとⅡb病変として存在する可能性がある.この症例では,Ⅱb部分は,X線的に粘膜ひだの不規則な消失,バリウムの付着異常として現れた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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