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文献詳細

雑誌文献

胃と腸29巻10号

1994年09月発行

文献概要

今月の主題 胃底腺領域の分化型癌 主題症例

胃底腺領域の早期高分化腺癌の1例

著者: 八尾建史12 竹村聰12 櫻井俊弘1 松井敏幸1 八尾恒良1 岩下明徳2

所属機関: 1福岡大学筑紫病院消化器科 2福岡大学筑紫病院病理部

ページ範囲:P.1083 - P.1088

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要旨 患者は70歳,女性.過形成性ポリープの経過観察の目的で施行した上部消化管内視鏡検査で胃体上部大彎前壁寄りにⅡa+Ⅱc型の3cm大の早期胃癌が発見された.胃X線所見で同部に比較的扁平な隆起性病変を認め,表面に不整形の陥凹を伴っていた.病変の大彎側と口側の部分は特に丈が低く,顆粒状の小隆起が集簱した部分を認めた.病理学的検索により粘膜下層深部まで浸潤した分化型癌であることが明らかになった.病変の辺縁や扁平顆粒部は非常に分化の良い腺窩上皮に極めて類似した癌組織から成っていた.背景粘膜は腸上皮化生を認めない胃底腺粘膜であった.粘液の組織化学的染色により癌細胞は腺窩上皮と同じ粘液組成であることが証明され,腺窩上皮型癌と診断した.体部腺領域の高分化腺癌の肉眼像・組織像はいまひとつ明らかでなく,その組織発生という点も含めて興味ある症例であると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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