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文献詳細

雑誌文献

胃と腸29巻11号

1994年10月発行

今月の主題 大腸sm癌の細分類とその意義

主題

pseudoinvasion―診断と臨床的意義

著者: 武藤徹一郎1 正木忠彦1

所属機関: 1東京大学医学部第1外科

ページ範囲:P.1134 - P.1135

文献概要

1.文献的背景

 pseudoinvasionを最初に記載したWesthues(1934)1)はその著書の中で"腺腫性腺管が閉塞によって嚢胞状となり,これが粘膜下に破れてschlimstrasseを形成した後に腺腫性上皮に覆われることがあるので,癌浸潤と間違ってはならない."と述べた.Veidenheimerら(1970)2)も粘膜下層に侵入した腺腫性腺管を癌浸潤と誤診しないように注意を促しているが,これをpseudocarcinomatousinvasionとして記載し,その臨床的意義を明らかにしたのはMuto,Morsonら(1973)3)の論文である.同年,Greene4)によっても同様の所見がmisplacementとして記載され.pseudocarcinomas invasion,misplacement,pseudoinvasion,colitis cystica profundaなど様々な名称があるがmisplacementが最もその状態を素直に表現していると思う.

 後述するごとく様々な種類の腺管が粘膜筋板の間隙を通って粘膜下層に侵入するが,腺腫性腺管,特に異型の強い腺腫性腺管がpseudoinvasionを起こした場合には,癌性浸潤との鑑別が問題となり,pseudoinvasionの約半数がこのような例である.頻度は左側結腸の有茎性腺腫に多い3).ポリペクトミーがこれほど普及した最近ではかなりの例が経験されているに違いないが,報告がほとんどないのは不思議である.sm癌と判定されていなければよいのだが…….

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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