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文献詳細

雑誌文献

胃と腸29巻11号

1994年10月発行

今月の主題 大腸sm癌の細分類とその意義

主題研究

大腸sm癌の新しいsm浸潤度分類からみた組織異型度・発育先進部簇出像と脈管侵襲・リンパ節転移との相関

著者: 小林正明1 渡辺英伸1 前尾征吾2 味岡洋一1 吉田光宏1 斉藤英俊1 人見次郎1 須田武保3

所属機関: 1新潟大学医学部第1病理 2大分医科大学第1外科 3新潟大学医学部第1外科

ページ範囲:P.1151 - P.1160

文献概要

要旨 大腸sm癌の組織異型度(高分化腺癌は細胞異型度から高異型度と低異型度に分け,中・低分化腺癌は高異型度とした)と発育先進部簇出像が脈管侵襲やリンパ節転移とどのような相関を示すかを検討した.対象は,進行大腸癌を合併しない外科切除大腸sm癌151症例,154病変である(内視鏡摘除後の追加腸切除例を含む).リンパ管の同定にはEGFR(epidermal growth factor receptor)抗体が血液型A型抗原に交叉反応し,リンパ管(ly検討例は76病変)の内皮細胞に陽性となることを利用した.簇出像の判定は今井の定義に従った.sm浸潤度分類はsm浸潤垂直最大長が500μmまでをsm1,500<X<1,000μmをsm2,1,000μm以上をsm3と分類し,sm浸潤水平最大長が1mm以下をsma,1<X<3mmをsmb,3mm以上をsmcと分類した.低異型度sm癌13例ではsm浸潤度に関係なくly(-),v(-),n(-)で,簇出の頻度も23.1%と低かった.高異型度sm癌141例のうちsm1癌12例は簇出の有無に関係なく,またsm水平浸潤度に関係なく,ly(-),v(-),n(-)であった.sm2癌は2例(いずれもsm2c)のみで,簇出(+)50.0%,ly(-),v(-),n(-)であった.sm3癌117例では,簇出(+)が82.1%で,籏出(+)と(-)との間で1y(+)が72.1%vs.0%,v(+)が40.2%vs.0%,n(+)が22.5%vs.5.6%となり,前2者で有意差がみられた.更に,sm3癌のうち,sm3aの2例とsm3bの5例はいずれも1y(-),v(-),n(-)であった.以上から,高異型度sm3c癌で,発育先進部に簇出がみられる癌はly(+),v(+),n(+)の可能性が高いこと,この簇出は通常のH・E標本ではしばしば同定が困難なly(+)やv(+)の指標として有用であることが示唆された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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