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文献詳細

雑誌文献

胃と腸29巻11号

1994年10月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

術前診断できた早期回腸癌の1例

著者: 尾関豊1 土谷春仁2 鈴木雅雄3 林昌俊1 関野考史1 下川邦泰4

所属機関: 1国立東静病院外科 2伊豆逓信病院内科 3岐阜大学医学部放射線科 4岐阜大学医学部臨床検査医学

ページ範囲:P.1207 - P.1213

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要旨 患者は67歳,男性.上腹部痛で受診し,便潜血反応陽性のため注腸X線検査を施行したところ回盲弁から約20cmの回腸に辺縁不整像を伴う2.5cm大の腫瘤陰影像を認めた.下部消化管内視鏡で同部に粘膜ひだの集中を伴った隆起性病変を認め,直視下生検で高分化型腺癌であった.術前精査のうえ,回腸粘膜下層癌の診断のもと回腸切除術を施行した.切除標本では2.7×2.0cm大の粘膜ひだ集中を伴う凹凸不整な小結節状病変で,病変の辺縁部は軽度に隆起し,中央部には軽度の陥凹をみた.組織学的には粘膜内を主体とする高分化型腺癌で,一部粘膜下層のリンパ管内に大量に浸潤していた。腺腫成分は認めなかった.術前に組織学的確診および深達度診断できた早期回腸癌症例は極めてまれである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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