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文献詳細

雑誌文献

胃と腸29巻11号

1994年10月発行

用語の使い方・使われ方

島状粘膜残存

著者: 牛尾恭輔1

所属機関: 1国立がんセンター中央病院放射線診断部

ページ範囲:P.1161 - P.1161

文献概要

 表面陥凹型(Ⅱc型)の早期胃癌で,しばしば浅い陥凹面に認められる.浅い陥凹面の内部に,周囲の非癌部と同じ高さで,粘膜がちょうど,島状に取り残された形態を示すことから,わが国で作られた用語である.通常は5mm内外の大きさで,数個から十数個認められる.その1つ1つの形は不整で,辺緑も不整である.表面に癌組織が認められる場合も,認められない場合もある.陥凹の形や辺緑,ひだの性状と共に,浅い陥凹性病変における良・悪性の鑑別で,重要な所見とみなされている.領域性をもった浅い陥凹性病変内に,その島状粘膜残存が多発して認められる場合は,悪性とみなしうる.

 この所見について,欧米でははっきりした記述はなく,早期胃癌の診断学を完成させたわが国で生まれた用語である.これまで同義吾とした,島状隆起,島状粘膜,島状粘膜隆起,島状結節状隆起,島状粘膜遺残,island-like odule,Insel(インゼル)などと呼ばれてきた.このうち島状隆起とすると,非癌部の周囲粘膜よりも背が高いという印象を受けるので,隆起という言葉は使わず,島状粘膜残存と呼称されることが多く,日本消化器内視鏡学会の用語委員会では,島状粘膜残存という

用語を用いている.胃のX線像(Fig. 1)や内視鏡像(Fig. 2),切除標本の肉眼所見(Fig. 3)で使われている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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