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文献詳細

雑誌文献

胃と腸29巻12号

1994年11月発行

文献概要

今月の主題 大腸sm癌の細分類とその臨床 主題

大腸sm癌の肉眼的特徴とその診断

著者: 池上雅博1 下田忠和2 小牧稔之3 黒田陽久1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学第1病理 2国立がんセンター中央病院臨床検査部 3早期胃がん検診協会中央診療所

ページ範囲:P.1237 - P.1247

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要旨 外科的に切除された大腸sm癌141病変を用い,割面形態上からPG,NPGに分類後,肉眼所見と組織所見を対比し,sm浸潤度診断を行った.PG90病変63.8%,NPG51病変36.2%で,平均径はそれぞれ22.5mm,12.9mmとNPGのほうが小さい病変であった.PGは,深い陥凹,潰瘍形成がsm2,3を示す直接的な指標と考えられたが,病変の大きさ,表面凹凸不整などの所見はそれぞれsm浸潤を示唆する所見ではあるが,sm浸潤度診断には直接的な指標とはなりえなかった.PGのsm浸潤度診断は,肉眼形態別に行う必要があると考えられ,特に表面型の病変は,10mm前後の小さい病変からsm2.3に浸潤する病変が多くみられた.NPGは,表面型の病変から由来したと考えられ,5mm以下の病変でもあらゆるsm浸潤度を考えなければならない.sm浸潤度診断には,辺縁粘膜の圧排・挙上所見がsm1b~3を診断するうえで直接的な指標となると考えられた.潰瘍形成,表面凹凸不整,sm浸潤に伴う病変内隆起形成,ひだ集中などが存在すれば,sm2,3を示す所見と考えられた.NPGsm1aとm癌を鑑別することはできなかったが,sm浸潤を来すNPG病変の初期病変として,陥凹を示す病変が重要であることを示した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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