icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸29巻12号

1994年11月発行

文献概要

症例

腸重積および空腸縦走潰瘍を呈したSchönlein-Henoch紫斑病の1成人例

著者: 宗祐人1 松井敏幸1 櫻井俊弘1 八尾恒良1 竹中国昭1 八尾建史1 中林正一1 溝口幹朗2 岩下明徳2 畠山定宗3 植木光彦3

所属機関: 1福岡大学筑紫病院消化器科 2福岡大学筑紫病院病理 3福岡県済生会二日市病院内科

ページ範囲:P.1307 - P.1314

文献購入ページに移動
要旨 患者は34歳,女性.関節痛,紫斑,腹痛,下血を主訴に入院.紫斑部の皮膚生検によりSchönlein-Henoch紫斑病と診断した.本症例では十二指腸から大腸まで病変を認め,内視鏡検査で十二指腸では粘膜浮腫,びらん,小潰瘍を,小腸では粘膜浮腫,縦走潰瘍を,また大腸では粘膜の発赤,出血斑が認められ,X線検査では小腸に腸重積,縦走潰瘍を,大腸に壁の伸展不良を認めた.入院後からprednisolone 60mg/日静注したが効果なく,methylprednisoloneによるパルス療法を施行したところ症状の著明な改善を認めた.空腸~空腸の腸重積をX線像で捉え,合併した空腸縦走潰瘍を内視鏡的に経過観察しえた報告例は見当たらなかった.この縦走潰瘍は,頻回の腸重積により虚血状態が持続し二次的に形成されたものと推測した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?