icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸29巻13号

1994年12月発行

文献概要

今月の主題 上部消化管病変の特徴からみた全身性疾患 序説

上部消化管病変の特徴からみた全身性疾患

著者: 飯田三雄1

所属機関: 1川崎医科大学内科(消化器Ⅱ)

ページ範囲:P.1355 - P.1356

文献購入ページに移動
 家族性大腸腺腫症は,従来大腸に限局した疾患と考えられていたが,1970年代以降,胃,十二指腸,小腸にも高率に腫瘍性ないし腫瘍状病変を随伴することが明らかにされ,骨腫,軟部腫瘍を合併するGardner症候群と本質的には同一の全身性疾患との概念が確立した1).1977年筆者らは,本症に合併する胃病変2)3),十二指腸病変4)の特徴を報告し,無症状の本症患者が上部消化管病変を契機に早期のうちに発見される可能性を述べた.事実,その後,ルーチンの上部消化管X線検査で十二指腸球部に多発小隆起を認め,それを契機に早期診断された家族性大腸腺腫症の1例を経験し報告した(本号の主題症例5)).

 Cowden病は,皮膚,口腔粘膜,甲状腺,乳腺,子宮,卵巣などの全身諸臓器に過誤腫性病変を呈する遺伝性疾患であるが,最近ポリポーシス症候群として認識されるようになった.ポリープは全消化管に分布するが,食道と胃に最も明瞭に認められる.本症では中年期以降に高率に内臓悪性腫瘍を合併するので,その早期診断の意義は大きい.従来診断指標として重視されてきた皮膚粘膜病変が軽微な症例も存在することから,上部消化管病変の特徴像の認識が早期発見のうえで極めて重要と考えられる.事実,筆者ら6)が経験した本症5例はいずれも特徴的な上部消化管病変を有しており,それを契機に本症と診断された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら