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文献詳細

雑誌文献

胃と腸29巻13号

1994年12月発行

今月の主題 上部消化管病変の特徴からみた全身性疾患

主題

アミロイドーシスにおける上部消化管病変の特徴

著者: 多田修治13 飯田三雄12 檜沢一興1 八尾隆史4 小林広幸1 青柳邦彦1 原口修3 須古博信3 渕上忠彦5 岡田光男6 八尾恒良7 藤島正敏1

所属機関: 1九州大学医学部第2内科 2現川崎医科大学内科(消化器Ⅱ) 3済生会熊本病院消化器科 4九州大学医学部第2病理 5松山赤十字病院消化器科 6福岡大学医学部第1内科 7福岡大学筑紫病院消化器科

ページ範囲:P.1357 - P.1368

文献概要

要旨 アミロイド沈着が証明された72例の上部消化管病変を臨床病理学的に検討した.72例のアミロイド蛋白を免疫組織学的およびKMnO4前処理Congo red反応により検索した結果,アミロイドA蛋白(AA型)52例,免疫グロブリンL鎖(AL型)14例,β2-ミクログロブリン(AH型)3例,異型プレアルブミン(AF型)3例であった.X線・内視鏡所見は蛋白別に有意な差がみられ,AA型では微細顆粒状隆起の多発する粗ぞうな粘膜が,AL型では粘膜下腫瘤様隆起の多発と皺襞の肥厚が,それぞれ十二指腸を中心に高率に認められた.組織像との対比では,沈着が軽度の症例では粘膜面の異常に乏しく,沈着が進むにつれてAA型では粘膜固有層への広範顆粒状の沈着を,AL型では粘膜筋板・粘膜下層および固有筋層への塊状沈着を認め,各々の形態学的特徴像および臨床徴候との対応がみられた.また,AH型では固有筋層への多量沈着が,AF型では自律神経節への沈着が臨床症状に強く関与していると考えられた.72例の生検におけるアミロイド沈着陽性率は十二指腸(97%),胃(89%),食道(52%)の順に高く,沈着の程度もこの順に高度であった.以上の成績から,上部消化管はアミロイドーシスの診断に極めて適した検査部位であり,特に十二指腸第2部の微細な形態学的変化を捉えることにより,アミロイド蛋白の種類と沈着の程度を推測することが可能であると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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