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文献詳細

雑誌文献

胃と腸29巻2号

1994年02月発行

文献概要

今月の主題 胃良・悪性境界病変の生検診断と治療方針 主題

胃良・悪性境界病変の生検診断の問題点―長期臨床経過からみて

著者: 関根仁1 渋木諭2 大原秀一1 平沢頼久1 池田卓2

所属機関: 1東北大学医学部第3内科 2宮城県対がん協会

ページ範囲:P.143 - P.151

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要旨 初回生検でGroupⅢの診断を受け,その後手術あるいは内視鏡的切除により確定診断の得られた35例を対象として,胃生検診断GroupⅢの問題点について検討した.最終診断は13例が腺腫で術前生検診断も全例GroupⅢであった.また,1例に増大傾向を認めた以外に形態的にも変化は認められなかった.残る22例の最終診断は癌で,初回内視鏡の肉眼型は多くが扁平隆起で,色調も褪色調であったが,10例で色調は均一ではなく一部に発赤が認められた.経過観察中に形態変化を呈したものは7例で,増大と共に発赤の出現や結節状の変化が認められた.経過中,平均4.4回の生検が施行され術前生検診断がGroupⅤとされたものが12例,Ⅳが7例で,生検という限られた組織での診断の困難さが示唆された.GroupⅢという生検診断のみに頼りすぎることなく,組織異型を伴うものや形態変化を呈する例では積極的に内視鏡的切除の適応とすべきと考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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